古田新太 俳優生活25周年演目『リチャード3世』『蜉蝣峠』

観てきました。リチャードは1月29日マチネ。撮影日と重なって、カメラがぎょうさんおりました。
蜉蝣峠は3月18日。おっと、昨日ですね。

面白かったなぁ。やっぱり。
 『リチャード3世』はきちんとシェイクスピアだったけど、やっぱりINOUE☆SHAKESPEAREと銘打ってるだけあって、いのうえさんだからこそ出来る演出でした。あれは蜷川さんとは別物です。蜷川さんは【視覚に訴える美】がダントツで上手で、いのうえさんはどちらかというと【視覚聴覚を駆使する超スペクタクル演劇】を今まで突き通したからこその現代演劇・・・という感覚を受けるのです。言ってる事分かりづらくてすみません(汗

 パンフレットの蜷川幸雄さんのインタビューを読んでいて“あぁ、もぅ蜷川さんもやっぱりそう思ってますよねっっ”と何度ニンマリしたことか。そして、卒論にサブカルチャーを入れ忘れたと何度後悔した事か・・・・あぁ、でもとっても嬉しい。蜷川さんと新感線が繋がってる事が、すんごく嬉しいです。
 

 『蜉蝣峠』はネタバレになりそうなので閉じます。
ネタバレにならない程度の感想をすこし。
 くどかんが壊(パンク)させた新感線。いつもの新感線スタイルとは少し違って、若干物足りなさを感じました。でも、こういうのアリだと思います。今回は、脚本に左右されていた感がアリアリですが、いつも通りのド派手な照明と音響は健在だったし、なにしろ、このメンバーでやってくれたってことがやっぱり嬉しい。
 この人達が、舞台の上に立っているだけで、倖せなんです。その時点で、もう完敗です。劇場を後にしているとき、環境が変わっても自分に余裕がなくなっても、新感線の芝居だけは観に行きたい。そう思わせてくれる人たちに出会えたことが、未来にもいきてくのだと思います。



 古田新太×堤真一のコンビ、何年ぶりでしょうか。もぅ、その時点で結構きますよね。
 今回、古田さんがわりと本当に主役っぽい立ち位置だと聞いていたのですが、髑髏城シリーズを期待したのがいけなかったかな。うーん、でも今回脚本が宮藤さんなんだから、違って当たり前なんだけど(笑)

 話の内容は、まぁ、くらーくなるのがオチです。最後もくらーいです。
うーん、どーもちょっと物足りない感じなんだよなぁ、ラストが。おかしーなー。マクベスのときは、全然感じなかったのに。 それでも、イマドキの脚本なんだろうな、と。宮藤さんだからこそ、宮藤さんにしか書けないもの。新感線を壊させるストーリーでした。しょっぱなからギャグ満載で新感線っぽいワーッ、ガァーっっ!!という動きが出てくるのが後のほうなので、そこに感じた違和感、とか。
 今回の脚本は、気付かないうちに事実や真実が入ってきてるんですよねぇ。ただ笑ってるだけだったのが、あれ?あそこのシーンのあれはこういうことだったのか・・・って気付かされる。
 勧善懲悪じゃない、むしろ善も悪もない人間の姿をみれる作品。記憶喪失の男が、人々に必要とされる事で自らの記憶を取り戻していくなんて、感動的なはずなのに、忘れた記憶はシアワセな過去だけじゃないんだなぁ。難しいです。
 

 個人的には、勝地くんのキーの高さ&通る声にビックリしました。犬顔を見てなかったので、初見。2階席A列という観やすいけどちと遠いお席だったのですが、最初から結構下ネタがんばんの中、なんだろうかわいがられただろうなぁ・・・感をヒシヒシと感じました。最後が、切ないんだけどね。女形もかわいかった。

 堤さんは、今回悪役という事ですが、なんてさわやかな悪役なんだ。定番?の長髪かつらがお似合いでした。すんごく。かなり遠いお席なのに、たまに顔の表情がばっちり見えるときがあって、自分の記憶(アテルイとか)と重なって、“ステキ”の一言です。殺陣も綺麗で、裾とかきっちりやっているところがまた、ね。足がって開くとことか、ほんとカッコいいなぁ・・・とついつい目で追ってしまう。

 高田聖子×橋本じゅんの夫婦!!!!
 最初、あまりにキレイだったので一瞬高田さんと気付かず(笑)ほんの一瞬ですけどね。二人、超チューしてた!ほんと何十回もチューしてた!じゅんさんはあいかわらずのダメ亭主役だったけど、なんか久々に聖子さんとじゅんさんのカラミを見て、もぅそれだけで嬉しくなっちゃった。聖子さんと堤さんが兄弟ってのもすごいけど(笑)しかもその息子(実は娘)に木村了くん!?(笑)了くん、初新感線だというのに本当にご活躍されていました。役的にも一生懸命さがビシビシ伝わってきました。でも、走る姿はカルマのがかっこよかった(笑)

 粟根さんの小ネタは今回も効いてましたよー。宿屋の2階で窓をあけて覗いてるシーンがあるのですが。けっこう色々やってらっしゃいます。かわいいです。殺陣があまりなかったのですが、やっぱりいろいろやってくださるんですよね。主に身体で!笑

 高岡早紀さんはかわいかったです。「やみちゃん」と闇太郎(古田)を呼ぶトーンとか、独特のお泪役を演じてらっしゃいました。ラスト、蜉蝣の闇太郎をみて、銀次郎を見送るお泪は切なかったです。天晴との微妙な関係も切ないのに、闇太郎にも惹かれるなんて、なんて恋多き女なんでしょう!(尊敬の念もこめて)

 梶原善さん!
 髑髏の時もかっこよかったですが、今回もいい役です。善さんはカーテンコールの時もかなりいい感じなので、好きです。全員整列した際、古田さんの方に手をやって「今日はよくやった(がんばった?)」と仰ってるとことか、楽しそうだなぁーと微笑ましかったです。善さんはすごく新感線を好きなんだろうなぁ、と思うんです。オーラがすごく楽しそう。


 主役の古田さんv
今回、そんなに喋ってないような。ちょっと残念。殺陣はあいかわらずキレイです。ちょっとお痩せになられたような・・・大丈夫でしょうか。観劇した回は、一箇所ちょっとセリフ早すぎた(善さんのセリフ飛ばした)とこ以外はとくに何事も無かったような印象です。またキレイどころとチューしやがって!!!(前回の安田さんに続き)と羨ましい(羨ましい?)と思ったけど(笑)
 闇太郎が、また難しくて。記憶が無い状態で出会った人々と関係を築けば築いていくほど(銀ちゃんとかお泪とか)、その繋がりに固執しているようにも見えて。ストーリー自体難しいので、切ないです。
 余談ですが、パンフの『我が人生の一片に悔いなし!!』というコメントの〆が格好良すぎます。格好イイコトばんばん言うし、けっこう辛口なのに、皆に気を使ってくれる、そんな優しい古田さんが大好きです(泣)