「髑髏城の七人 2011」

<初観劇 9月8日マチネ公演>
 歴代の髑髏城のメインキャストである捨之介&天魔王役の古田新太さん、抜かず兵庫役の橋本じゅんさんがいないということで、いったいどうなるんだろう・・・・と不安だった部分があるのですが、蓋を開けてみれば、全く別物。
ワカドクロと言われているのがやっと納得いった作品になってました。
 新感線の髑髏城を求めちゃうと、ちょっといつもとスタイルが違う気がするので、別物として見なくちゃいけない、それはわかってるつもりだったのですが、やっぱりね、思い入れが強いとね、細かいところで残念がる自分がいるのも事実です。

今回の髑髏城は、人物の迷い・葛藤がすごく伝わってくる舞台でした。
 天魔王様なんて、あんなに人間ちっくというか、ちっちゃい人間になっちゃってて衝撃的でした。病んでたよ、天魔王様。あんなに迷ってる天魔王にはびっくりだった。
 捨之介はわりと紳士な捨之介になってました。ちょっと残念。沙霧との関係も、ちょ〜っと中途半端に感じた。あ、あと、ずいぶんと自分を責める思いが強い印象をうけました。“天魔王をとめられなかった自分が許せない”とか城大工の熊木の件とか(あんなに詳しく説明してたっけなぁ、昔)
 蘭兵衛はわりとかわってないようにみえた・・・かな。密かに信長公を思い続け、その思いを天魔王につっこまれて、壊れてく様とか。ただ、なんだか最初からずーっと死に急いでる感じの狂気は持ち続けてた気がする。中盤〜後半にかけての蘭兵衛の感情のスピード感がすごかった。
 沙霧は、なんとなくアカの佐藤仁美さんの沙霧を彷彿とさせました。でも、今回はちょっと影が薄かったかなぁ。。体当たり全力投球な感じがすごく良かったから、ストーリー上あまり目立ってない気がして残念。
 極楽太夫は、姉御気質満載だったwべっぴん太夫wwいさぎよさといい、色気といい、太夫はまだまだ上り詰める印象をうけました。きれいだったなぁ。
 兵庫は、びっくりした。想像以上に歴代の兵庫!って感じでした。ちょっと若かったけど、その分、まっすぐな印象だった。荒武者隊とのからみが少なすぎて、あの虐殺のシーンにいまいち感情移入できなかったのが心残り。

なんだか、個人に向けた感想になってきちゃった。ちょっと小休止。

 メインキャストが豪華になった分、わきを固める劇団員の方々が大事だと思ってたんだけど、いまいち・・・・粟根さんとかもっと出ればいいのにとかさえ思っちゃった。荒武者隊の扱いがちっちゃくなった分、なんか兵庫との関係性も薄くない?という印象。女性陣の存在感は素敵だったwwよし子さんとカナコさんの存在無くしては、無界の里も髑髏党も成り立たないだろ!とおもうほどwあ、でももちろん、良かった人もいて。河野さん演じる三五は、ちょっとだけシリアスだった。歴代の三五より、ひょうきんさが少ない印象。その分、磯野さん演じる磯平はあいかわらずの素敵さ加減だった〜wカマ使いといい、カン○ョーの舞といいww



 感動したこと
・天魔王の人格について、すごく深くなってた
・人物重視のストーリーでより人間っぽさが出てた
・蘭平衛役の早乙女くんの舞が素晴らしかった。足腰はんぱない。
・未來さん、早乙女くんとよく対等に戦ったなぁ、驚きでした。
(あ、でも足腰ではやっぱり難しそうだった。重心の安定感が日舞って難しいのよね。なんとなく足下みちゃうと大変そうだなって思ってしまう)
・天魔王役の未來さん。今回の一番の驚きは天魔王様だった。なんかね、寂しそうだった、ずっと。で、仲間には優しい天魔王だった。今までの天魔王みたいに、冷酷卑劣に仲間を盾にしてなかった。切なくて、ちょっと幼くて、でも必死に天になりたがってた、そんな男でした。
・捨之介は、さらっともってく男になってた。泥臭い感じはなくなってたけど、ヒーローだった。まっすぐで、責任感のある、ちょっと弱い男だった。
・個人的に小栗さんの偽天魔王の甲冑姿は好き。あれ、ずるい。ずるい。
・兵庫役の勝地くんがよかったwじゅんさんの心意気を感じたwあんなにもちゃんとやってくれると、お礼を言いたくなってしまうw勝地くんは新感線でああいうキャラをやらせると、気持ちよ〜くぶっとんでくれるから好きw100人斬りも驚きだったw
・贋鉄斎役がまさかの聖子さんw奥さんっていう設定は新鮮でした。肝っ玉母さん的存在なのは、御本人も仰ってましたが、まさにそんな感じでした。聖子節炸裂なのもなんかすごい安心感があった。
・劇団員の人たちの安定感はやっぱり大事。。
・前田さんと河原さん、今回見せ場少ないような気がしたけど、やっぱりお二人の殺陣がかっこいいなぁ。。たくましい背中まで堪能してしまったw
・床の斜め度?や奥行きが分かりやすい舞台だった。
・あいかわらず、照明つり下げ数はんぱないw笑
・若干の違和感もあったけど、効果音使い方が今回もお上手w
・サントラCDは観劇前に購入。むふふ。岡崎さん良い仕事してます♪




  ちょっとものたりなかった点
・歌、なし。悲しい・・・・右近さんとよし子さんとカナコさんのお歌が聴きたかったなぁ。。。。。。。
・捨之介と沙霧って、もっと関係性深くなかったっけ?あんなもんだっけ。
・蘭平衛はあんなに最初からギリギリの状態だったっけ?・・・あれは早乙女君の若さ故なのかなぁ。あれはあれで良いのだけど。
関八州荒武者隊での兵庫と子分達の関係性があんまり時間かけられて無くて、惨殺事件での感情移入がいまいちできなかった。あそこ、歴代の髑髏では結構ぼろぼろシーンだったのになぁぁぁぁ。
・殺戮シーン、血のはじけかたがいまいち。アカだったかな?派手な時の印象が強かったから、ちょっと残念。あれは、セットの関係かなぁ。
・粟根さんの存在感が、う・す・い。orz
・古田さん、じゅんさんがいないのは、違う作品だと思いこませてみてるのに、やっぱり悲しい。今回の髑髏城を見た結果、エロくて、泥臭い捨之介が恋しくなった。DVDでしか見られない切なさ。








 1回しか観劇してないので、細かい部分はなかなか思い出せなかったり、思い入れの強いシーンは逆にショックを受けてたり、で、新しい「髑髏城の七人」
を堪能できたかと言われれば、出来てないと思います。自分でも。

 きっと、この髑髏城シリーズにおいては、観客も思い入れの深い人が多いし、幕が開くまでやっぱり捨之介の役へのプレッシャーは大変だったと思います。小栗さんは、よくこれを引き受けたなぁと尊敬すらします。蜷川作品で、正統派の舞台をこなしてきての、今、だと思ってます。未來さんや早乙女くん、今回ちょーっとこの二人の役所や立ち回りが評価されてますが、小栗さんのどんどん進化する捨之介はほんと楽しみ(エアロン(『タイタス・アンドロニカス』)役演じていたのを観たからかもしれないけれど。私の中であの小栗くんの存在が大きすぎる。笑)
 良い意味で、新しい髑髏城の七人でした。小栗さん、大千穐楽まで、座長として、がんばって引っ張っていって欲しいと思います。また観劇できる日を楽しみにしてます。


おわり。